ライフプランコラム「いま、できる、こと」vol.71(2019年10月18日)ある土曜日の特養、「記憶のしくみと特徴」に思いを馳せた出来事

今年はなかなか梅雨が明けなかったですね。そんな梅雨空の中、小学校での土曜ボランティア授業が終わった後、自転車をこいで義父が暮らしている特養へ向かいました。その日は蒸し暑くて、汗だくで特養に到着。義父の部屋でベルトをとって洗面台の上に置き、YシャツとスラックスをTシャツと短パンに着替えて、ようやく私の汗も落ち着きました。

義父が昼ごはんを食べた後、食後の運動がてら、恒例の散歩に出かけました。以下、散歩中の会話です。

  • (義父)
    「みなさんはお元気ですか?」
  • (私)
    「みなさんって、誰のことですか?」
  • (義父)
    「(少し考えてから)…あなたの周りにいる人たちのことです」

私は義父とのこの会話であることを確信しました。認知症が進んで、義父は私の名前を忘れているのです。顔は覚えていると思います。義父の部屋に顔を出した時には「久しぶりだね〜」と言ってくれますから(もっとも、病院に付き添った翌日でも「久しぶりだね〜」となるんですけどね。。。)。

認知症の義父と付き合うようになって早3年が経ちますが、色んな本を読んだ中で一番役立ったと思うのが「記憶のしくみと特徴(下図)」についてです。認知症の特徴の1つ、記憶の障害は、まず「短期記憶」から始まります。だから、義父は私に会ったという事実をすぐに忘れてしまうのです。

記憶のしくみと特徴

また、認知症によって失われやすい「長期記憶」が意味記憶とエピソード記憶で、残りやすいのが手続き記憶と感情記憶だとか。意味記憶としての私の名前は忘れ去られているのでしょう。ただし、感情記憶は良いことも悪いことも最後の日まで残り、感情記憶に働きかけることで他の記憶が蘇ってくることもあるそうです。「お義父さんが私との散歩を心地いいと思ってくれるなら、いつか私の名前も思い出すかも?」と考えながら特養を出たとき、スタッフの方が私のベルトを手に持って駆け寄ってきました。どうやら義父の部屋の洗面台に置きっぱなしだったようです。スタッフの方が少し困り顔で曰く、「お義父さんから、『さっき来た人の忘れ物』って渡されたんですよ」と。私は『さっき来た人』なんですね。。。道のりは険しそうです。

  • ※出所:イヴ・ジネスト、ロゼット・マレスコッティ、本田美和子 著 『家族のためのユマニチュード』 誠文堂新光社

大和証券 確定拠出年金ビジネス部
2019/8/9作成

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