ライフプランコラム「いま、できる、こと」vol.78(2019年12月6日)昔、父から言われた一言を思い出して感じた「令和」の優しさ

昭和の終わり頃、私が高校を卒業し浪人生活に入る前、父とこんな会話があったことを最近思い出しました。

  • 「1年浪人して、大学受験に再チャレンジしたい。授業料はかかるけど、予備校に通わせてほしい。」
  • 「分かった。でも、大学浪人のコストは予備校代だと思ったら大きな間違い。その10〜20倍、お前の働き方によってはそれ以上のお金を失ったことになるんやで。」

当時の私は、父の一言をよく理解しないまま浪人生活に突入しました。でも、社会人になった後、その意味合いが分りました。単純に考えても、浪人して社会人になるのが遅れた分だけ、稼ぐ期間が短くなっている訳ですから。おそらく父もそのように考えていたのでしょう。

さらに50代になった今、改めて思うのは、浪人した影響は社会人として働いている間の稼ぎに留まらない、ということです。実は、老後の公的年金にも影響するのです。例えば、お勤めの場合、厚生年金保険は保険料を納めた期間とその間の報酬によって年金額が決まりますので、浪人して稼ぐ期間が短くなった分だけ、年金額が少なくなる可能性があるのです。「可能性がある」としたのは、浪人することで高収入の職に就くことができれば、保険料納付期間が短くても、浪人しなかった場合と同水準の年金額を確保できるからです。もっとも、こんな「タラレバ」は検証しようがありませんが。。。

また、今、50代の方は、20歳になっても学生の間は国民年金への加入を義務付けられていませんでした。ですから、社会人になるまで国民年金の保険料を納めていなかった方も多いはずです。私もそのクチですが、そうした場合、現時点で見込める老齢基礎年金の金額は間違いなく満額(令和元年度は780,100円)に届かないことになります。

でも、令和の時代の日本人の働く環境は昭和の時代とは大きく変わっています。例えば、60歳で定年退職して余生を過ごす、というよりも、60歳以降も働く、という選択肢が一般的になっています。つまり、今や、老後の公的年金の金額にも影響を及ぼし得る「大学浪人のコスト」は、60歳以降も厚生年金の保険料を納めながら働き続けることで穴埋めできる時代になっているのです。公的年金という観点での話にはなりますが、浪人したり、国民年金に加入していなかったり、といった学生時代の初期設定の違いが、老後も公的年金の格差として続いてしまったのが昭和の時代だったのでしょう。そのように考えると、学生時代のスタートで躓いたとしても、長く働くことで挽回できるチャンスがある分、令和は昭和よりも、我々現役世代にとっては優しい時代なのかも知れません。

冒頭の父との会話を思い出したのは、先日、父から急に終活のことを切り出されたからです。終活の第一歩は家の片付けらしく、父から言われたのは「大量のお前のマンガを処分しろ!」。そう言われて、実家の押入れにあったマンガを片付けもせずに読みふけっていて(笑)、昔のことを思い出した、という訳です。

  • ※学生に国民年金の加入が義務づけられたのは平成3年4月からで、平成3年3月までは学生は国民年金に任意で加入できることになっていました。なお、任意加入しなかった期間は老齢基礎年金の年金額に反映されません。(出所:日本年金機構HP)

大和証券 確定拠出年金ビジネス部
2019/9/27作成

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