ライフプランコラム「いま、できる、こと」vol.125(2020年11月6日)「年収の壁」の前で少し躊躇している人へ

大学生の娘は近所のパン屋でバイトしています。最近は土日祝日だけでなく、平日でもシフトが入っているようです。「忙しそうだね?」と聞くと、「年末が近づくとパートさんがシフトを減らすんだよね〜」。いわゆる「年収の壁」を意識して就業調整をしているようですね。実はこの「年収の壁」は色々あります。整理してみましたので、ご覧下さい。

【100万円:住民税の壁】

自治体によって異なるようですが、一般的に年収が100万円を超えると、住民税の納税義務が生じます。

【103万円:所得税の壁】

年収が103万円を超えると、所得税の納税義務が発生します。103万円の根拠は、103万円−55万円(給与所得控除)−48万円(基礎控除)=0円。つまり、103万円までなら課税所得がゼロになり所得税がかからないのです。

【106万円の壁:社会保険の新しい壁】

2016年10月から新しくできた壁です。従業員が501人以上の会社で働く人は年収106万円以上になると、社会保険上の扶養の対象外となり、健康保険料や厚生年金保険料などを支払うことになります。今年5月に成立した年金制度改正法によって、「501人以上」という要件が、2022年10月には「101人以上」に、2024年10月には「51人以上」に変わります。今後、106万円の壁を意識する人が増えるでしょう。

【130万円:社会保険の昔からある壁】

もう一つの社会保険の壁が130万円です。従業員数に関係なく、年収130万円以上になると社会保険料を負担することになります。

【150万円、201万円:配偶者特別控除の壁】

社会保険の壁を越えて働く人が直面する壁です。150万円を超えると配偶者の特別控除が段階的に減り、201.6万円以上で控除がなくなります。

このように「年収の壁」は色々ありますが、自分自身の壁という意味では、「税金の壁」と「社会保険の壁」に分かれます。「税金の壁」の前で躊躇している人にはiDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)をおススメしています。iDeCoで積み立てた金額は全額が所得控除の対象になりますので、住民税(所得割)や所得税を減らすことができるからです。

一方、「社会保険の壁」に悩んでいる人へのアドバイスはこんな感じです。「たしかに、厚生年金の保険料を負担することになると、今使えるお金は減ってしまいますね。でも、老後に備えて貯蓄に励むにしても、今使えるお金は減るのです。同じように今使えるお金が減るのであれば、保険料の半分は会社が負担してくれて、しかも終身で受け取ることができる厚生年金の方が、老後の蓄えとしては頼りになると思いませんか?」と。このように考えれば、「社会保険の壁」も乗り越えられるのではないでしょうか。ご参考になれば幸いです。

  • ※月額賃金8.8万円以上を年収換算すると約106万円以上になる、という意味です。厚生年金の加入対象には、従業員数や年収以外にも要件(労働時間など)があります。

大和証券
2020/10/23作成

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