ライフプランコラム「いま、できる、こと」vol.160(2021年7月16日)介護は、無理やりの「覚悟」と無理のない「情熱」で…

先日、折茂武彦さんの自叙伝、『99%が後悔でも。』を読みました。折茂さんは日本バスケットボール界のレジェンド、Bリーグ「レバンガ北海道」の社長も務めている方で、バスケットボールや経営について、こんな風に語っていました。

  • バスケットボールしかないという「情熱」はいつもそばにあった。だから「辞める」とか「続ける」なんてことを考える必要もなかった。経営に対してもそうだ。わたしなら、「情熱」があるものこそ続く、と伝える。
  • 何かを始めるか、始めないかについては「覚悟」だと思っている。やる、やらないについては、年齢も、環境も、お金もあまり関係ない。やる、やらないはいつだって自分自身の問題である。
  • ※以上、『99%が後悔でも。』より引用(一部省略)

私自身のことを振り返ると、義父の介護に直面したとき、折茂さんがおっしゃるような「覚悟」を意識した覚えがあります。
5年前の今頃、大腿骨を骨折した義父の入院先から電話がありました。「お義父さんは認知症です。退院は3週間後ですが、独り暮らしは難しいでしょう。」とのこと。「介護って、ドラマや映画みたいに突然やってくるんだなぁ〜」と他人事のように思ったのもつかの間、病院で医療ソーシャルワーカーさんとの打合せを繰り返し、義父の退院後の生活を整えるまでの3週間は息つく暇もないほどのドタバタでした。

要介護者の状態は人によって違いますし、要介護者を取り巻く環境も家族ごとに異なります。介護は人それぞれですが、それでも一つ、介護者の立場で大切だと感じたのは、無理やりにでも「覚悟」を決めること、ですかね。折茂さんがおっしゃるように、年齢も、環境も、お金もあまり関係ありません。それらを気にしてしまうと、やらない理由やできない理由ばかり出てきます。話が前に進まないのです。

介護をやる、やらないで言えば、やるしかありません。「いま、できる、こと」を実行するしかないのです。そのためにもまず、介護に向き合う「覚悟」を家族同士で共有することが大切になると思います。介護の本には、ケアプラン作成後に関係者が集まる場として「サービス担当者会議」の説明がありますが、「覚悟」を共有する場としては遅い気がしますし、形式にこだわる必要もありません。逆に言えば、無理やりにでも「覚悟」さえあれば、介護も何とかなるものだと思います。例えば、お金の話。義父の収入は満額に欠ける基礎年金だけですが、そんな義父でもなんとか今は、収入の範囲内で特養にお世話になりながら、安全で安心に暮らしています。

一方、義父の介護を続けるにあたって、折茂さんがおっしゃるような「情熱」は…ないですね。というのも、子育てとは違って、介護は先が見通せないからです。過大な期待を抱かないこと、そして、無理なく続けられる仕組みをつくること、これらが介護を続けるコツだと気づいたからです。私が義理の息子という立場だからかも知れませんが、介護を続けるには無理のない「情熱」くらいがちょうどいい、そんな風に思います。

大和証券
2021/5/7作成

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