ライフプランコラム「いま、できる、こと」vol.183(2021年12月24日)「貯蓄から投資へ」ではなく「所得から貯蓄へ」と考える

「貯蓄から投資へ」というスローガンは、さかのぼると、「銀行よ、さようなら。証券よ、こんにちは。」という言葉が流行った1960年代前半から、ずっ〜と言われ続けているのかもしれませんね(苦笑)。最近は「貯蓄から資産形成へ」と少し言い方が変わり、若い人たちを中心に、つみたてNISAやiDeCoを始める人が増えている、そんな感じだと思います。

とは言え、未だ家計の金融資産に占める現金や預金の割合は半分以上、「貯蓄から投資へ」はまだ道半ばです。
例えば、投資しない理由を尋ねると、「まとまったお金がないから」、「ある程度、貯蓄ができたら」といった回答が並びます。そんなアンケート結果を見ながら、いつも思うのは、「貯蓄から投資へ」ではなく、「所得から貯蓄へ」と考えるべきではないか、ということです。どういうことなのか、ご説明しましょう。

さて、「貯蓄しないと投資できない」、そんな風に考える人はやっぱり、「投資」って聞くと身構えて、自分とは関係ない世界のことだって考えているのかもしれないですね。実は私、若い人たちが始めている、つみたてNISAやiDeCoって、「貯蓄から投資へ」ではなく、「所得から貯蓄へ」を進めるための制度だと思うのです。つまり、所得の一部を「貯蓄」するために、つみたてNISAやiDeCoを利用する、こんな風に考えるべきではないか、ということです。

以前であれば、預貯金で「貯蓄」はできたわけですが、今や超低金利、預貯金だけではお金は増えない時代です。だから一足飛びに「投資」をすべき、というのではなく、まずは「所得から貯蓄へ」の流れを作るために、つみたてNISAやiDeCoを利用しませんか、ということです。預貯金との比較で言えば、「証券貯蓄」と呼んでもいいかもしれません。

さらにもう一つ。預貯金と「証券貯蓄」の違いとして、つみたてNISAやiDeCoでは、「貯蓄」だけでなく、「投資の経験」も積み立てることができるのです。つまり、人生100年時代を生きていく上では、「貯蓄」だけでなく、「投資の経験」を若いうちから積んでおくことも、とても大切だと思うのです。

冷静に考えると公的年金は、今後、制度として破綻することはないけれど、受け取る金額は減るかもしれません。そうなると、われわれ現役世代は70代や80代くらいまで「投資」に向き合っていく必要があると思います。そして、「投資」との向き合い方は、失敗や成功体験を積み重ねていくことで身につくもの。例えば、退職金という「貯蓄」ができて「投資」を始めたけれど、なかなかうまくいかなかった、そんな人も残念ながら多いのです。若いうちから、「証券貯蓄」で積み立てた「投資の経験」が、人生100年時代で「投資」に向き合い続けるための金融リテラシーになる、私はそんな風に考えます。

このように、つみたてNISAやiDeCoを、「所得から貯蓄へ」の流れを作り、「投資の経験」も積み立てられる制度だと捉えると、「貯蓄しないと投資できない」、というステレオタイプな思い込みも振り払えるのではないでしょうか。ご参考まで。

  • ※日本銀行の資金循環統計によれば、2021年6月末時点の家計の金融資産は1,992兆円、そのうちの53%にあたる1,072兆円は現金・預金です。

大和証券
2021/10/15作成

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